今年の「亥の子」は、11月6日だ。
絶滅寸前の日本のお祭りだから、日本人でも知らない人が多い。

昭和21年、疎開していた四国で、オレはそのお祭りを経験した。

「亥の子」石は、円柱形の硬い石を鉄製の輪で巻き、その輪に10数個の金具を
取付け、それぞれに綱を結びつける。10kgもあるから大勢の子供が協力して、
綱を引っ張らないと、その石は上には上がらない。
一年間、うやうやしくその「亥の子」石は神社にしまわれていた。

お祭りの日になると、それを引き出して、10数人の子供たちが近所をまわる。
子供たちは、各家々の庭で、亥の子歌を歌いながら、それぞれ自分の綱を引く。
一糸乱れぬ綱引きで、石は上下し、地に穴を掘る。昔は舗装なんかしてなかった。

最後に神社にもどってくる。ここでは、ガキ大将の指揮で全員が心を一つにして、
最後の亥の子をやる。神社の地面にきれいな穴があく。

この穴を、またいではならぬ。オチンコやオマンコが腐ってしまうそうだ。